Mc-LINERS特設 Mc.OKAZAKIのミリタリーよもやま話 その3 前線では戦えない、欠陥だらけの空母「レンジャー」 |
今日のお題は第2次大戦中のアメリカ空母「レンジャー」です。 「レンジャー」は実験空母「ラングレー」、巡洋戦艦から改造された大型空母「レキシントン」「サラトガ」に次いで4番目に建造された空母で、アメリカ初の“始めから空母として造られた”空母です。 しかし、軽量にも関わらず全長が長く、しかも多くの搭載機を載せられる事に主眼を置いた為、「レンジャー」は大きな物を犠牲にしました。ズバリ、“防御力”です。 しかし太平洋戦線は大激戦となりました。アメリカ軍は珊瑚海海戦で「レキシントン」を、ミッドウェー海戦で「ヨークタウン」を、潜水艦の攻撃で「ワスプ」を、そして南太平洋海戦で「ホーネット」を立て続けに失い、さらに「サラトガ」が潜水艦の攻撃で大破し本国に修理のために帰還。前線に立てる空母が「エンタープライズ」ただ1隻となってしまったのです。日本軍はミッドウェイで大敗したとは言え、今だ「翔鶴」「瑞鶴」の大型空母を有しています。 翌年にはアメリカの総反撃の基幹となる大型空母「エセックス」級が続々と就役して、太平洋戦線は一気にアメリカ有利となっていくのですが、それまでの最大の国難とも言える時期に、他国の艦に頼らねばならない程使えなかった「レンジャー」の存在に、当時のアメリカ軍司令部は歯がゆい思いをした事は想像に堅くないですね(^_^; 結局「レンジャー」は1944年には第一線を退いて練習空母となり、そのまま無傷で終戦を迎えたのでした。懸念された防御力の不備を露呈する事なく・・・。 (2003・3・17) |
|