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Mc.OKAZAKIのミリタリーよもやま話 その6

エセックス級空母と神風特攻隊

今からほぼ60年前。フィリピン・レイテ島を巡って行われた日米の大海戦の最中、日本軍は恐るべき戦術を初めて実行に移したのでした。
神風特攻。爆弾を積んだ機体もろとも敵艦に体当たりするという、非人道的ながら絶大な効果を持つ戦法でした。
その主目標は米空母。とりわけ、米軍の反攻作戦の要となっていたエセックス級大型空母は執拗に狙われました。エセックス級で大戦中に完成したのは15隻。そのうち、『エセックス(CV-9)』『イントレピッド(CV-11)』『フランクリン(CV-13)』『タイコンデロガ(CV-14)』『ランドルフ(CV-15)』『バンカーヒル(CV-17)』『ハンコック(CV-19)』の7隻が特攻機の洗礼を受けました。

『エセックス』。1944年11月25日、フィリピン・ルソン島沖で特攻機1機が飛行甲板舷側部に突入し15名が死亡、44名が負傷(写真)。さらに翌45年4月11日にも沖縄近海で特攻機の突入を受け損傷しています。

『バンカーヒル』。1945年5月11日、沖縄近海にて特攻機2機の突入により大破、600名以上が死傷。修理のために本国へ回航、そのまま終戦まで戦線復帰は叶いませんでした。

『フランクリン』。1945年3月19日(関係ないが、丁度ワタシの母の生まれた日だw)、九州沖にて爆撃及び突入(未確認)を受けて大破。損傷甚だしく本国へ回航、終戦まで戦線復帰は叶わず。
修理後も完全な状態には戻らなかったようで、エセックス級で最初の除籍・解体艦となりました(1964年10月)。

『タイコンデロガ』。1945年1月21日、台湾沖で特攻機の突入により大破。前年11月には日本の巡洋艦『熊野』と『八十島』を撃沈する武勲を挙げていました。

『ランドルフ』。1945年3月11日、ウルシー環礁内で特攻機の突入により損傷、艦尾に大穴を開けられました。修復後は日本本土空襲に参加しています。

・・・このように大きな損傷を受けながら、沈没艦は1隻も出さなかった所にエセックス級空母のタフさ、及び日本の空母にはなかったダメージコントロールの技術の粋が見られる訳です。
散って行った特攻隊員の方々には無念の極みでしょうが・・・。

(2004・10・29)

 

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