Mc-LINERS特設

Mc.OKAZAKIのミリタリーよもやま話 その25

太平洋戦争・超不幸艦艇列伝 〜日本海軍十傑編A〜

昨日に引き続いて日本海軍の超不幸艦列伝。今日はTOP3の発表です。

3位:潜水艦『伊33号』
(写真は同型艦の『伊38号』)
・・・この艦の場合、不運と言うよりは“呪われている”と言った方が良いかもしれません((((;゚д゚))))ガタブル
竣工から3ヵ月後、前線のトラック港で座礁事故を起こした『伊33号』は、修理作業中に艦のバランスを崩して艦尾ハッチから浸水、33mの海底に没してしまいます。この事故で33名の死者を出します。
何とか引き揚げて本土で修理を行い、伊予灘で訓練を行っていた(1944年)6月13日に機関室に浸水する事故を起こし、60mの海底に沈没してしまいます。この時、艦長以下102名が戦死。
戦後、引き揚げられた『伊33号』ですが、解体作業中にガス中毒事故が発生し、3名が亡くなりました。
・・・お気づきでしょうか?ともかくこの艦には数字の3、及び3の倍数が不幸の代名詞として付き纏っているのです・・・。と言うわけでこの艦が3位でした。

2位:航空母艦『大鳳』
日本海軍の全期待を背負った最新鋭装甲空母『大鳳』・・・しかしその名は今では日本海軍の不運の象徴のように語られています。
ミッドウェイ海戦の戦訓から、飛行甲板に重防御を敷いた『大鳳』は、500kg爆弾の直撃にも耐えられるだけの装甲甲板を持っていました。しかし、初陣のマリアナ沖海戦で、米潜水艦『アルバコア』の放ったたった1本の魚雷で沈没してしまいます。原因及びその過程は、

1・艦載機発進直後に魚雷命中。浸水は殆どなし。
2・魚雷命中の振動で、格納庫と飛行甲板を繋ぐエレベータが故障。
3・更にガソリン庫にヒビが入り、気化したガソリンが艦内に充満
4・エレベータの修理が完了し、起動した時の火花が気化ガソリンに引火、大爆発。沈没に至る。

更に『大鳳』にとって不運だったのは、

A・動かないエレベータがフタとなって、気化ガソリンが艦内から抜けなかった
B・飛行甲板が重装甲だったために、爆発ダメージが上に抜けず艦全体を破壊しまくった(北斗神拳みたいなもんですな)
C・『アルバコア』は上手く射点に着く事が出来ず、振り切られる直前のいわば最期っ屁で放った魚雷がたまたま命中してしまった

重装甲が全て裏目に出てしまった悲劇の空母『大鳳』。その最期は日本空母機動部隊の最期でもありました。

1位:重巡洋艦『最上』
1位のこの艦は、自身だけでなく周囲にまで不幸を撒き散らした点で他の艦よりも1枚上手を行っていました(^_^;
9位の『鈴谷』と同型の『最上』は日本海軍最強の巡洋艦でしたが、その死神っぷりは開戦初頭から発揮されます。
1942年3月のバタビア沖海戦では僚艦『三隈』とともに連合軍艦隊と戦い、巡洋艦2隻・駆逐艦1隻を撃沈する戦果を挙げますが、『最上』の放った魚雷は敵艦隊後方にいた味方輸送船団にも到達し、掃海艇1隻・輸送船1隻沈没、輸送船2隻・病院船1隻大破の損害を与えてしまいます。

続いては日本主力空母部隊が壊滅したミッドウェイ海戦。後方からミッドウェイ島攻略に向けて進撃していた『最上』にも敗北の知らせが入り、本土へ向けて帰還する事になりました。しかしその回頭運動中に僚艦『三隈』と衝突事故を起こします。損傷は『三隈』の方が軽微でしたが、追っ手から『最上』を守って戦った『三隈』は撃沈され、『最上』は大破しながらも帰還します。

その後、後部甲板に水上偵察機11機を搭載する航空巡洋艦に改装された『最上』は西村艦隊に所属してレイテ沖海戦に参加。スリガオ海峡夜戦で米艦隊の砲撃を受け、艦橋等を潰されて大破。戦場を離脱する際に、西村艦隊救援のために駆け付けた志摩艦隊の旗艦・重巡『那智』と衝突。更にその後の空襲で航行不能となり、味方の駆逐艦『曙』によって雷撃処分されたのでした。
ちなみに衝突された『那智』、および介錯を勤めた『曙』はマニラ湾に退避した所に空襲を受け、両艦とも撃沈されました。

機会があったら、今度は世界の不幸艦列伝をやってみるつもりです(^_^;

(2008・4・20)

 

Mc.OKAZAKIのミリタリーよもやま話 過去コンテンツリストへ

Mc-LINERSトップページへ