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Mc.OKAZAKIのミリタリーよもやま話 その29

劇場版ヱヴァの新キャラ、真希波・マリ・イラストリアス・・・

先週末、遂に情報解禁となったマリの詳細・・・実は貞本氏のイラストも含めて、1ヶ月ほど前から職場で見てはいました(^-^;、さすがに超機密事項だったので口外出来ずにいましたが、ようやくこれで喋れますw

さて、エヴァのキャラクター名と言えば、軍艦や船の部品の名前から取られているのは周知の通り。
当然の如く、マリの『真希波』『イラストリアス』も元ネタになる軍艦があったりします。ここはウチらしく実艦を紹介しつつその関連性を探ってみましょう。

まずは『真希波』。・・・残念ながら『真希波』という名の艦はありませんが、恐らく元ネタになったのは旧日本海軍『夕雲』型駆逐艦の5番艦『巻波』かと思われます(写真は同型艦の『長波』)。アスカの『式波』の元ネタと思われるのが『敷波』なのと同様、少し漢字がアレンジされているものと推察。

『巻波』は1942年8月18日に舞鶴工廠にて竣工。時期的にはミッドウェイ海戦で大敗し、ガダルカナル島に米軍が大挙押し寄せて来て、泥沼の戦いが始まった頃。
つーか『夕雲』級は最新鋭の艦隊型駆逐艦で、ネームシップの『夕雲』以外の18隻は、全て開戦後に竣工しています。よって写真等の資料が他の型と違って少なく(『巻波』の写真も探したんですが、見付けられなかったんですよ・・・)、また、完成してすぐ最前線に投入されたので短命の艦が多かったのも特徴です。『巻波』に次いで竣工した6番艦『高波』に至っては、僅か3ヶ月の短い命でした。同型艦19隻が全て戦没してしまったという事実が、いかにこの型が最前線で働いたかの証左でもありますね。

『巻波』も竣工直後からソロモン方面の最前線に送られ、南太平洋海戦やルンガ沖夜戦などに参加。1943年2月1日のイサベル島沖海戦(ガダルカナル島から陸軍兵13,000人をを撤兵させるために、20隻の駆逐艦が命懸けで突入した漢気に溢れる作戦!)では米軍機の攻撃を受けて大破したものの、僚艦に曳航されて何とか帰還。本土で修理を行った後は再びソロモンの海に送られます。
しかし同年11月21日深夜、僚艦5隻で輸送任務に就いていた『巻波』は、その帰路に米駆逐艦5隻に待ち伏せを受けて魚雷を受けてしまいます。航行不能に陥った所にレーダー射撃で一方的に砲撃を受けた『巻波』は炎上しながら沈没。日本艦隊は『巻波』他2隻を失い、1隻が大破。無事生還出来たのは1隻のみでした(セント・ジョージ岬沖海戦)。

・・・と、特別な戦功を挙げた訳ではない、ある意味地味な艦なんですが、なぜこの艦がネーミングされたのかは謎です(^_^; あと、『綾波』『式波(敷波)』『真希波(巻波)』と、なぜかヱヴァのパイロットの名前には「波」が付けられてますが、『綾波』と『敷波』は同型艦(『吹雪』型)ですが、『巻波』は別の型(『夕雲』型)。マリはレイやアスカとは何かが違う伏線・・・かもしれませんよ( ̄▽ ̄)ノ

続いては『イラストリアス』。こちらは軍ヲタの間では名が知られている英国の空母の名前です。排水量28,600d、全長233m、速力30・5ノット、搭載機45機の堂々たる正規空母です。

『イラストリアス』は1940年5月21日竣工。太平洋戦争はまだ始まっていませんが、欧州では既に前年に第2次世界大戦が勃発しており、英国はドイツ&イタリアと激しい戦闘状態にありました。
『イラストリアス』最初の花舞台はイタリアのタラント軍港奇襲作戦です。1940年11月11日、夜間に21機のソードフィッシュ雷撃機(『ストライクウィッチーズ』でシャーリーが乗ってたあの複葉機です)を出撃させ、寝静まるタラント軍港に奇襲を掛けたこの戦い、停泊していたイタリア軍の新鋭戦艦3隻が大破着底し(うち1隻はそのまま復帰ならず)、その他2隻にダメージを与え、被害は僅か2機のみという完璧な奇襲を成功させたのです。あの真珠湾攻撃から1年以上も前に、空母からの艦載機で停泊する戦艦を沈めたこの攻撃は戦史上非常に重要な意義がありました。

その後もイラストリアスは地中海・北アフリカ・そしてインド洋まで駆け回って活躍。ドイツ海軍が事実上壊滅した1944年からは主に対日戦に回されてインド洋からインドネシア、そして台湾・沖縄沖にまで姿を現して米軍と共同で日本海軍を追い詰めて行きました。1945年4月9日には沖縄沖で日本軍の特攻機の突入を受けて損傷しますが、搭載機数を減らしてまで防御装甲に力を入れた設計が功を奏して致命傷には至りませんでした。
修理後は本国でオーバーホールに入り、そのまま終戦を迎えます。しかし酷使されてきただけあって船体の老朽化も早く、翌年には練習艦、翌々年には予備役艦となり、1954年に除籍、1956年にスクラップとして解体されて天寿を真っ当しました。

・・・とまぁ、英国を代表する名空母だった訳ですが、ヱヴァの人名は空母の名前が非常に多かったりします(日本空母『葛城』『赤城』『蒼龍』『伊吹』、米空母『ラングレー』、独空母『(グラーフ)ツェッペリン』)。ただ、英空母の名が無かったので、今回抜擢した・・・といったところでしょうか。
戦績も申し分ない艦ですが、名前の響きからだと同型艦の『ヴィクトリアス』や、ビスマルク追撃で活躍した『アークロイヤル』の方が格好良かったかもw

(2009・4・29)

 

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